SLIT 2019 展示会で感じた日本の眼鏡の今後 理想と現実

2019.04.13 Saturday

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    こんにちは

     

    Winkアオヤギ北浦和店です。

     

     

    4月10日、埼玉でも山間部では雪がちらつくという異常気象の中、

     

    都内で開催される春の眼鏡展示会、SLIT2019を拝見して参りました。

     

     

    去年9月にWinkアオヤギ北浦和店に転職してきた私にとって、久々の春の展示会です。

     

    以前いた某チェーンでは春は会社で借りたスペースに限られた所謂大手メーカーを呼んで展示会が行われ、そのメーカー達の商品の中から店舗に置く商品を仕入れる事を推奨とされていました。

     

    何故こんな形をとるかというと、グループ200店舗がほぼ足並みを揃えて商品構成をしなくてはならない為に小規模ロットで生産しているメーカーでは、例えどんなに商品が良くても供給が追い付かず、推奨商品として会社で推す事が不可能であるからです。

     

    また、近年の安価でお手軽な(それ自体は決して悪い事ではありませんが…)スリープライスショップの台頭で、どうしても大手でさえ、価格競争をせざるを得ない状況になり、大量生産、大量仕入れで価格を抑える交渉をメーカーとせねばならず、小さなメーカーは価格面でもまた、戦いの場にすら立つ事が不可能だったのだと思われます。

     

    それでもまだ個別に店舗でブランド選択の余地があるといえばあるのですが、結局はまだどこの店舗にも並んでいない、つまり実績のない商品が商品導入会議で承認されるかというと、かなり現実味の薄いお話になってしまいます。

     

    よって限られた時間で巡る展示会で比較的小規模なメーカーに優先的に話を聞きに行くかと聞かれれば「NO」と言わざるを得ない状況だったと今になって思います。

     

     

    しかし、今回は転職で職場も変わり、仕入れ自体は行わないとはいえ、会社に縛られた仕入れにこだわる必要がなくなった為、所謂大手とは違う、福井県鯖江の国産ブランドメーカーを巡って下見を兼ねてじっくり商品説明を受けて参りました。

     

    今回は、もうこのブログではお馴染みの「onimegane」の他に「taylor with reaspet」、「fascino rebelle」、「ramot eyeworks」(同一デザイナーによるブランド)、「padma image」、「design88」といった国内の「安く仕上げる事が目的ではない眼鏡」がどんな商品でどんなコンセプトなのかデザイナーさんや内部の社員さんにじっくりと話を聞いてきました。

     

     

    各ブランドに関してはいずれ改めて個別で紹介させていただきますが

     

    メガネcafe・山田×メガネさんの顔振り動画 でプチ話題の「design88」の様に新しい素材や構造に挑戦している物、

     

    「Padma Image」の様に大胆な左右非対称というデザインに挑戦している物、

     

    「onimegane」や」「fascino rebelle」、「taylor with reaspect」の様に、基本に忠実な中に確かにその眼鏡を使うユーザーの姿、使い心地を見据えて作られている物

     

    それぞれに素晴らしい日本の眼鏡を感じとる事が出来ました。

     

    個人的には、「もし自分個人の店を持ち、自由に商品構成が出来るのであれば、これらの商品を是非、売り場に並べたい!」と思わせるだけの声に出して語りたい魅力がありました。

     

     

    それと同時に感じたのが、「価格とスピード重視に偏重した今の眼鏡業界では、こういった素晴らしいメーカー達は今後も同じようにやっていけるのだろうか?」という危機感でした。

     

    これから日本の眼鏡が海外製の「低価格」に対抗していく手段としてはやはり「高品質」、「高機能」という部分になります。

     

    しかし、肝心の眼鏡店側は価格競争の真っ最中で有り、商品に「高回転」、「低価格」、「安定供給」を求めます。

     

    大手眼鏡チェーンがコストカットの為に質を落とし、過去に世界中にその名を轟かせた「高品質なmade in Japan」ではなく、「とりあえず日本で作られたmade in Japan」を大々的に広告に載せる事によって

     

    「日本の眼鏡と言っても結局は安く作れる」、「日本製でも海外製でも眼鏡って意外とすぐ壊れる」、「高い眼鏡は自己満足や他者へのマウントとりの為の物」と言ったイメージを大多数に植え付けてしまいます。

     

    とはいえ海外製よりはある程度は質も良く、信用はあるので結局、若干安普請な「なんちゃって日本製」は大衆に求められてしまい、大手チェーン以外の小売店ですら「その価格で出してほしい」、問屋側も「その価格でないと売れない」という状況になってしまい、品質を追い求めた高価な眼鏡は行き場を失ってしまいます。

     

    結局、メーカーの直接の販売先である大多数の小売店側が求めていない限り、どんなに素晴らしい性能を持った眼鏡だったとしても、最終的にユーザーの手元に届く事はなくなってしまいます。

     

     

    今、日本の眼鏡メーカーは「品質」、「デザイン」、「機能性」、「新素材」等、いろんな形で時代の流れと戦っています。

     

    しかし、地方からの人材流出、職人達の高齢化と跡継問題による今まで受け継がれてきた高度な技術の消失、

     

    大手チェーンによる工場機能の独占、世界規模の企業によるブランドライセンスの独占、等々大きな逆風にさらされています。

     

     

    何も安売り偏重の販売形態だけが悪いわけではありません。

     

     

    SLITでお話ししたonimegane福井店店長の小永さんが言っていました。

     

    「高い物にも安い物にも理由がある。ただしその理由は様々であり、必ずしもユーザーにとっての不利益になるコストカットとは限らない。しかし、安いから悪い物だろうと決めつけ、性能を活かす事もせず、買い手に満足感を演出する事も出来ず、ただ漠然となんとなく高い物を売っている販売者の怠慢こそ日本の眼鏡にとって最も憂慮すべき事なのではないか」

     

    この言葉には本当に心の底からドキっとさせられました。

     

    「〇〇さんの眼鏡はお高いから〜」などと言われながらも比較的多くのユーザー、眼科医にも信頼されていた前職ですら両眼視検査を自信をもって「出来る!」と答えられるスタッフは十数人規模の店舗でも数える程しかいなかった、もしくは出来たとしても繁忙により、大多数の店舗では実際に常に工程に含まれるものではなかったのではないかと思えます。

     

    日本の眼鏡の品位を失墜させてるのは海外製の台頭ではなく、もしかして自分たち販売店側なのではないか、自分は幸運にも気づかせてもらえたがこれからそれが改善されていく流れになる事はあるのだろうか

     

    日本製眼鏡の品質や心遣いに感動した半面、高い物を買うことに対する満足感、安心感を本当にお客様に与える事が出来ているのだろうかという危機感、それによる日本製眼鏡ブランドの信頼の失墜への恐怖感

     

    私にとって久々のちゃんとした春の展示会、SLIT2019は実に様々な事を考えさせられる展示会となりました。

     

     

    もし、私がいつか独立し、店を持つ時にこの素晴らしい日本の眼鏡メーカー達が無くなってしまっていたら困る!

     

    そういう想いから今回はこういったレポートという形で纏めさせていただきました。

     

     

    次回以降はまた軌道修正して、私を大いに楽しませてくれた素晴らしい日本の眼鏡をご紹介していければと思います。

     

     

    PS

     

    海外製の大量生産の安価な物と比較すれば本当の日本製眼鏡は決して安い物とは言えません。

     

    しかし、仮に一本5万円だとしても数年単位で使うものです。

     

    洋服であればワンシーズンで役目を終える、なんて事もざらにありますが眼鏡はそうではありません。

     

    とびきり気にいった眼鏡を見つけた時、仮にちょっとだけ高かったとしても

     

    数年分の服を買ったと思って少しだけ思い切ってみませんか?

     

     

    毎日、必ず付き合うことになる顔の上にある大事なパーツである眼鏡、少しだけ奮発してもバチは当たらないんじゃないかな?なんて思います。

     

    そうすれば鏡を見るのも服を買うのもきっと楽しくなりますよ

     

    まずは眼鏡を楽しみましょう!